コトリ式

サマーレイン

海辺に消える道をあるけば
きみの胸はプロペラの音がする
猫のヒゲをかすかに
ふるわせてとおりすぎる南風に
運ばれてわたる雨粒が目に入って
知らずにウインクをこぼしている
海辺に消えるこの道は
きみのこころに通じる道で
こわれたウインクがかたまって
空には貝がら雲がまどろんでいる
プロペラだ、プロペラ
赤いセスナが太陽をよぎれば
ぼくはさしずめ砂利道みたいな
おそろしく燥いた気分になる
猫がわらうのはいつもどおりだ
眠たげな目で
心ここにあらずという手つきをする
南風が今日はまぶしい
滑走路にも砂浜にもなりきれぬまま
とうとう大雨がやってくる
はねあがる砂埃 流れに沈んで
プロペラの響きが聞こえてくる
待って まだ石を拾いきれてない
ひび割れたウインクも